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多芸は無芸

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焼きつき色褪せないもの

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映画アメリカンビューティーでのワンシーン。
変わり者の少年リッキーが主人公の娘ジェーンに見せた、ビル街の吹き溜まりで木の葉とゴミ袋が螺旋を描きながらただ延々と舞い上がっているだけのビデオテープの映像。
リッキーは今まで見たもので一番美しい映像だという。ジェーンの心に何かが芽生える。

最近このシーンが繰り返しフラッシュバックする。

昨夜、今まで生きてきた中で美しいと感じ印象に残っているシーンはなんだろうと記憶の中を捜索してみた。
それぞれに特に特別な意味があるわけではないけれど、せっかく捕まえてきた記憶たちなので、古い順からいくつか書き留めておこう。
思い出が失くならないうちに。

【3~4歳】
日本の最北端、稚内市に従姉妹が住んでいた。当時にしてはかなりの豪邸で、季節のイベントの折には度々遊びにいっていたのだが、毎回「お化けがいるから絶対に入ってはいけない」と警告されていた部屋があった。
その階段を上がってすぐに位置する「開かずの間」を一度だけ覗いたことがあった。
扉を開くとお酒のようなニンニクのような臭いがした。
そこで観たのは、水色を基調に白い鳩が何羽も舞う壁紙に四方を囲まれた明るい光と、竹細工のチェストの上にピカピカ光るカラクリ時計のような置物、広い部屋の奥には大きなベッド。
決して趣味が良いとは言えない深緑にエンジ色の花びらが散らばった退廃的な印象の掛け布団が乱れていた。
窓が開いていたらしく、急に大きな風が吹いて透明度の高いレースカーテンが大袈裟に私を威嚇した。驚いて慌てて逃げた。「開かずの間」を覗いたことは誰にも言わなかった。
今思えば何のことはない、ただの夫婦の寝室だったのだろう。
大きく翻ったカーテンが鮮烈な印象を持って何故か美しい情景として今も時々思い出す。

【小学校6年生】
秋口だったのだろうか。程よく周囲が闇に浸かり始めた頃、友達と遊びつかれて我が家へ急いでいた帰り道で見た光景。
まだ団地の屋上あたりには薄紫が残留していたが、真上を仰ぐとまっさらな群青色が広がっていた。
当時、ひたすらグルグル回ることにハマっていた私は、広いアパートの駐車場でぼんやりと空を見上げ自転しながら我が家への軌道を進んでいた。
その時、3つの明るい星を見つけた。ん、これは噂の冬の大三角形かな?と、習ったばかりの星の名前を思い出そうとした。
観察している内に、その3つの星がゆっくり回転し始めた。しかも回転しながらどんどん小さな三角形になっていく。吃驚して、自転をやめた。ふらついた。
ひとつの星が点滅しながら隣の星にぶつかった。ぶつかられた星は、今度は逆隣の星にぶつかる、そして次の星は最初の星のところへ移動しまたぶつかる。遭難した登山者が山小屋の中で夜通しやる居眠り防止のあれに良く似ている動きだ。
そうしている間にも、輝きがどんどん強くなり、とっさに「UFOだ!」と確信して慌てて両親に伝えに走った。
母親を外へ連れ出したが、UFOも、星もそこにはなく、それどころか、その日は曇りだったのだ。
白昼夢だったのだろうと思うしかないが、あの時のまばゆい光を忘れることができない。

【中学校1年生】
以前も書いたエピソードだが中学校に入学し顔中にニキビが広がりブサイクで地味で勉強もできなかった私だったが何故かクラスのカリスマ的存在だったY子と親友同士だった。
Y子は学年でもトップを争う優等生であると同時に、万引きや嫌いな教師の靴を燃やすといった私には到底実行できないよう悪事もサラリとやってのけた。
毎日のようにつるんでいたのだが、ある真夜中に部屋の起こされ連れ出されこっそり抜け出した丑三つ時の散歩。初めてタバコを吸った。隣を見ると普段はおしゃべりなY子が黙りこくって、さびしげな横顔を見せていた。
どうしていいかわからずしくしくと降る大粒の雪を被りながら足元だけがうるさくギュッギュと鳴っていた。あの音も雪の煙草の匂いも街頭に照らされオレンジに浮かび上がる狂ったように降る雪も、あの夜の事はどうしても忘れられない。

【中学校2年生】
札幌から浦河町という小さな町の中学校に転校してイジメにあった。
クラスの雰囲気に馴染めず転校して2週間足らずでトイレに呼び出されて、次の日から多数の女子に無視され始めた。理由は3つ、札幌から来たから、いつも制服を着ているから(大半の生徒は普段ジャージで過ごしていた)、調子に乗っているから。
暴力や総シカト等、壮絶なものではないが、廊下を歩くと男子が避ける。リーダー格の生徒が来て私に何か質問する。その答えを聞いて爆笑する取り巻きたち。しょっちゅう耳に入る「きもい」という3文字の造語。
クラスのいじめられっこが数人寄ってきたが、彼女らも卑屈で馬鹿で大嫌いだった。幸い、絵が描けたり、成績もさほど悪くなかったので先生たちには可愛がられた。クラスの中で浮いたまま登校拒否にならずに卒業までこぎつけた。登校を拒否するほど強くなかったから。
その頃から本の虫になった。学校帰りに図書館に通い古い文学ばかり週に10冊以上読んだ。理解できないものも多くあったがとにかく読むことで毎日乗り越えていたように思う。奇を衒って部屋に寺山修司とか中也とかの言葉を貼り付け、父に「普通が一番偉いんだ!」と怒鳴られたこともあった。
自分を認めてくれない周りの生徒達への「おまえらとは違う」という優越感でいっぱいのつもりだった。本当は劣等感でいつもビクビクしていた。
図書館の帰りには必ず近くの海へ寄った。重い本を抱えながら、テトラポットによじ登り隙間を見つけてその中に隠れ、暗くなるまで一人でじっとしていた。
髪の毛も指も潮風に晒され、舐めるとしょっぱくて何度も確かめた。
ブロックの間から見える海はいつも灰色に時化ていて陰気臭い風景だった。「夢は無人島で高い塔を買って、そこで数千の書物に囲まれて月を見ながらひっそり死ぬ事。黒猫だけは連れて行く」と提出し呼び出された正に中2の厨二少女。暗黒歴史。
それでも世界だけは美しいと感じていた、あの時化た海に沈む太陽は忘れない。

【高校3年生】
高校2年生の時に好きになった人が居た。
朝のバスで一緒になる彼は暗いグレーのコートのフードを目深に被りいつも居眠りをしていた。だらしなく口を開け、つり革に捕まりながら前後左右にユラユラと揺れる姿を、一緒に登校していた友人は「きもーい」と笑ったが、私はまさにその姿に一目惚れしてしまったのだ。
隣のクラスだった彼はいつ盗み見ても、眠そうにしているか、目をひん剥いて虚空を見つめているかのどちらかだった。若干小太りで眼鏡の彼は決してもてるタイプでは無かったが、男子生徒や教師には「面白い奴」と一目置かれていた。
放課後になると科学部だった彼はいつも白衣で走り回っていた。
哲学や数学の話になると興奮し、発する言葉は到底理解が出来ない内容だったが、それはわざと気を衒い、それを隠れ蓑にして周囲の人間を観察しているようにも見えた。
全く面識の無かった私が様子を見ていると、鋭い眼光を一瞬和らげ大きな目で不思議そうな顔をするのだった。
ますます彼に惹かれていったのは間違いない。
高校3年生の春を迎え、いつものように帰りのバスが一緒になったある日のこと。
お互い部活をしていたので学校を出る頃にはもうすっかり日が落ち、ひんやりした空気が群青色の空を覆い始めていた。なんとなく無口で、私は心臓だけを密かにうるさく鳴らしていた。
到着駅に近付いた頃、彼がふいに「降りよう」と一つ前のバス停で降車した。慌てて付いていく私。
彼は何も言わず細い用水路のわき道をぐんぐん進んでいく。
訳が分からず足元も良く見えないその道をひたすら付いていくと、目の前が突然開けた。
そこには小さいながら、下から煌々とライトアップされた夜桜があった。周囲は闇に包まれ、人の姿も全く見えない。
白い光に照らされた小さな桜だけがそこに存在していた。
斜め後ろから見る彼の横顔には何の表情も読み取れなかった。小走りで移動した為か肩が少し上下していた。
どれくらい無言でそこにいたかわからない。
その後の記憶ももうない。
ただ、闇とひんやりした空気。それから強烈に光る桜の花と頬の熱さ。
その時間の情景ははっきりと私の脳の裏側に、フルカラーの映像で焼きついている。
今となってはもう二度と連絡を取る事も会う事もない人の話。

【短大1年生】
サボった授業中に学校の中庭で初めて見た親友の涙。

【短大2年生】
酔いつぶれて店の前の道路で大の字に寝転んだときの真っ黒な空。
終電を逃して泊まった公園で静かに揺れるポニーの遊具。

【社会人】
美しい光景にはいっぱい出会ってきたけど鮮烈な印象に残っているものは少ない。



よし、疲れた。
おしっこして風呂はいってついったーチェックしてゴミ整理してミルク飲んでタバコ吸って眠剤飲んで寝る。
あっ、うんこもしなきゃ。うんこうんこ。

今日はこわい夢見ませんように。
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プロフィール

アネオErica

Author:アネオErica
行き先が決まらぬ船でたゆたう。
たまに文章を書きます。
たまに絵を描きます。
たまに写真を撮ります。

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http://book.akahoshitakuya.com/u/2009
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