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多芸は無芸

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微熱が続いてる

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部屋の窓を大きく開け湯上がりの上半身を夜の空気に晒す。
しゅわっと一瞬湯気があがった気がした。
母のポーチから盗んできた煙草、マイルドセブン・ワンに静かに火をつけて大きく吸い込むと、すました夜風がぴたりと止み煙が真っ直ぐ立ち上った。
目で追いかけると真上には月があった。
昔流行ったサンリオのキャラクター「みんなのたあ坊」のように口をだらしなく開け、ノドチンコで月を感じていると左半身に視線を感じる。
振り返ると外壁の向こう側から、リャマのように首を長くした私が無表情でこちらを凝視していた。
突然の出会いに多少面食らったが、軽く会釈をして再び煙を吐く。
禁煙して半年と吹いてはいるが、なんだかんだと月に2~3本は嗜んでいるので本当は禁煙中とは言えないのだろう。
つけっぱなしのiTunesから流れてきたThe CircleのWe Had A Good Thing Goin' が後頭部を撫でてくる。
つい鼻歌がこぼれる。
視界の端っこのリャマのシルエットもわずかに揺れる。
We can get that good thing going again
We can get that good thing going again
We can get that good thing going again…

ふと、家の前に伸びる道の向こうに高校生とおぼしきカップルが、火花のようにパチパチとはしゃぎ合ったかと思うと蔦のように絡み、蛇行しながら歩いている。きゃ、んきゃふ、ざりざ、り、じゃっ、会話とも鳴き声ともつかない愛くるしい音に足踏みを響かせて近づいてくる。
少し熱過ぎる湯船に浸かる時のようなチリチリとくすぐったくたまらない気持ちになって、君たち!そこのピンクの家の2階の窓から頭のおかしいばばあが覗き見してますよ!と照れ隠しに叫びたくなる。
少女のつけている赤いマフラーとこの真冬にコートもつけない少年の詰め襟がくっついては離れて遠ざかって行く。
国道の方から微かに救急車のサイレンが聴こえると、部屋の中に残してきたお尻とふくらはぎがブルブルと催促し始めたので、ぬるくなった日本酒をぐぐとあおって最後に煙を大きく吸い込み、窓枠に溜まった雪で消化する。
リャマになった私は相変わらず微動だにしないでこちらの様子を伺っていたので、一応目礼をしてから窓を閉めて歯を磨いて直ぐに寝た。

その夜は片栗粉が溶けては固まる夢を見た。
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アネオErica

Author:アネオErica
行き先が決まらぬ船でたゆたう。
たまに文章を書きます。
たまに絵を描きます。
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